建物建設にかかるそれぞれの立場の人たちの関係
施主
建物を建設するに当たり資金を用意して建設業者に建築を依頼する人を指します。建物が完成したら建設業者から建物の引渡しを受けてその所有者となります。言葉を変えれば「オーナー」です。施主がマンション分譲会社の場合は建設業者から引渡しを受けた後にその買主であるエンドユーザーに引渡しをします。
建設業者
施主から注文を受けて建築工事をする業者です。建設業とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請負うことをいいます。この建設業は次の28業種に分かれています。
土木工事業(土木一式) 建築工事業(建築一式) 大工工事業 左官工事業 とび・土工工事業 石工事業 屋根工事業 電気工事業 管工事業
タイル・れんが・ブロック工事業 鋼構造物工事業 鉄筋工事業 ほ装工事業 しゅんせつ工事業 板金工事業 ガラス工事業 塗装工事業
防水工事業 内装仕上工事業 機械器具設置工事業 熱絶縁工事業 電気通信工事業 造園工事業 さく井工事業 建具工事業 水道施設工事業
消防施設工事業 清掃施設工事業
建設業を営もうとする者は元請、下請を問わず、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし、軽微な建設工事のみを請負う場合は、許可は必要ありません。
営業所の所在地によって知事許可・大臣許可に分かれます。営業所を東京都内のみに設ける場合は東京都知事許可になります。2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合は、国土交通大臣許可となります。
建設工事自体は、営業所の所在地に関わりなく、他府県でも行うことができます。例えば東京都知事許可を受けた建設会社は、営業活動は東京都内の営業所で行わなければなりませんが、その営業所における契約に基づいた工事は、東京都内以外でも施工可能となります。 許可は、一般建設業と特定建設業の許可に区分されています。一般建設業の許可と特定建設業の許可を、両方受けることは可能ですが、同一の業種について、一般建設業と特定建設業の両方の許可は受けられません。
特定建設業の制度は、下請負人の保護などを目的として設けられているもので、次のように法令上特別の規定があります。
発注者から直接請負う(元請)1件の建設工事について、その下請金額の合計が3,000万円以上(建築一式は4,500万円以上)の場合は特定建設業の許可が必要となります。ここでいう下請金額の合計とは、その1件の工事にかかるすべての一次下請業者に対する下請金額の合計です。二次以降の下請に対する制限はありません。
建築設計事務所
建築設計事務所は建築士と呼ばれる一級建築士、二級建築士の資格者が勤務しています。
建築設計事務所は次のような仕事をします。施主の希望する建物・構築物の基本計画からその建築設計・設計図の作成・構造計算書の作成・建築確認書の作成・建築確認申請手続き・その他諸官庁への建築関係の申請書類の作成提出・建設業者決定の為の施主へのアドバイス・建築の施工図の作成・建築工事の施工内容の管理(適正に工事が行われているかどうかの管理)・建築物の建設業者から施主への引渡しの立会い・建物完成後建物の維持管理にかかる施主へのアドバイス。
コンサルタント業者
施主が建物を建築するに先駆けて建物の計画・資金計画・設計事務所の選定・建設業者の選定・事業の運営計画など多方面でのアドバイスを施主に総合的に行います。
構造計算偽装事件が起きた背景について考える
構造計算の偽装はなぜ起きたのか
事件は構造計算を請け負った建築設計事務所の一級建築士によって起きました。偽装は鉄筋の使用量を少なくする設計により建築コストを下げることが目的でした。
建築コストを下げるには意匠設計の段階で建物のデザインや柱や梁の数を変えたり、更には建築構造を変えることにより決められた安全基準を守りながらコストを下げる方法があります。構造設計の段階まできて効果的ににコストダウンをするには鉄筋量を少なくしてコストダウンする結果とになってしまいました。安全基準以下の鉄筋量まで落としてその計算を偽装したのが今回の事件です。
一級建築士の資格
一級建築士の資格を取るには大きな努力と多くの時間を掛けた勉強と経験が必要です。そこでやっと資格試験の受験資格を得て、試験に合格したものが一級建築士として業務が出来ます。
意匠設計と構造設計
その一級建築士が構造計算偽装を行ったのですからその背景をよく考える必要があります。構造計算は意匠設計の後に行われます。意匠設計の建築設計事務所と構造設計の設計設計事務所は分離しているケースがほとんどです。従って意匠設計を行った建築設計事務所から外注という形で構造計算の構造設計の受注を受けることになります。仕事の発注者から強く鉄筋量を少なくする要求があった結果、下請けとして仕事をもらい続けるために違法なレベルまで鉄筋量を減らす構造設計を行こない、それを隠すために構造計算の偽装を行うことに追いやられた結果です。
建築設計事務所へ設計の注文主
今回の事件で意匠設計の設計事務所が下請けの構造設計事務所に鉄筋量を減らすことをなぜ強く再三に渡り要求したのか考えてみる必要があります。意匠設計の建築設計事務所は建築基準法やその他関連法規に従い建物のデザインや間取り・機能・設備等の設計を行います。建築コストが大きく変わるのはこの段階です。従い低コスト建築費の建物を作りたいならこの意匠設計の段階でよく検討した設計を行う必要があります。
なぜ、意匠設計の建築設計事務所は低コストの建築設計を行う必要があったのでしょうか。この設計の注文主が施主なのか或いは建設業者なのかによって事情が変わってきます。
施主が建築設計事務所に設計を直接依頼
先ず建築設計事務所に施主が直接に設計を依頼した場合を考えて見ます。
ここでは一般的な場合を考えて見ます。施主は建築設計事務所に設計を依頼するに当たり自分の考えている希望を告げるでしょう。それは建物がデザイン・間取り・機能・設備等、少しでも人目につく、美しく、みんなから好感をもたれるような建物です。低コストの建物設計の要求はある程度、前記希望が満たされた後の話です。まして危険な違法な建物を造ることは希望しません。
建設業者が設計事務所に設計を依頼
建設業者が設計事務所に設計を依頼した場合を考えて見ます。
建設業者は施主から建設工事を金額を決めて請け負います。当然、施主は建築費の検討をします。一坪当たりの単価や建築費が色々な角度から見て高いか安いか考えて、建設業者に工事の注文をするかどうか決定します。一口に言って建築費が高いと建築工事の受注が望めません。又、建設業者の利益が少なくなります。
従い、建設業者が設計事務所に建物の設計依頼をする場合、先ずは低コスト建築費の設計を依頼することになります。
低コスト建築費の建築設計
一般的には建築設計事務所が設計の第一条件として低コスト建築費の建築設計をするケースとしては建設業者からの依頼を受けた場合です。まして施主が建築設計事務所に建築設計を直接依頼した場合、安全基準を下回る様な低コスト建築費の設計を依頼することは稀です。
施主が建築プランの段階で建築業者に依頼した場合、先ずは価値ある建物を設計する以前に低コスト建築費の設計のプランが創られてしまう可能性があります。
施主がマンション分譲会社で自社内に意匠設計部門がある場合は意匠設計を行い、その後、構造設計を外注すると成ると低コスト建築費の構造設計を依頼することになります。但し、施主が安全基準を下回る建築構造設計を依頼することは常識では考えられません。
コンサルタント業者の立場
施主がコンサルタント業者に事業のコンサルタントを受けていた場合、建築業者と設計事務所の選定はコンサルタント業者の意向も反映してきます。コンサルタント業者は施主の利益を図るために施主より報酬を得てコンサルタント業務を行います。施主はコンサルタント業者にコンサルタント料を支払う見返りとして事業のコンサルタントを受けより良い収益を得ることが出来ます。当然、施主はコンサルタント業者の意向を聞きなが建築業者と設計事務所の選定をします。当然の事ながらコンサルタント業者は低コスト建築費の設計を図ります。
建築主は建築計画を立てる際に最初に誰に相談するべきか
施主は建築計画を最初に相談する相手として建てる建物によっても違いますが信頼できるコンサルタント業者が居て、コンサルタント料を払う余裕があれば迷うことなくコンサルタン業者に相談すべきだと思います。
コンサルタント業者に頼む意志がなければ先ずは複数の建築設計事務所に相談してみては如何でしょうか。ほとんどの建築設計事務所が無料で相談にのってっくれる筈です。その中から信頼できそうな気に入った建築設計事務所に費用の確認をした上で依頼します。建築設計事務所には兎に角、建築に関する希望は何でも相談してみて実現出来る事と出来ないことの区別をつけて行く事が必要です。それには建築設計事務所と時間を掛けた打ち合わせが必要です。詳細な建築設計図面が出来上がったところで複数の建築業者から合い見積もりを取ります。おそらく金額が高いところと安いところとでは20%以上の開きが出ると思います。但し、提出された見積書の総額だけ比べるのではなく、設計図面に書かれている内容の見積もり落しがないか建築設計事務所のチックしてもらいます。勿論、建設業者の信用状態も大切な用件です。この段階で建設業者を選定します。建築設計事務所には建設業者との建築請負契約書の調印時にも立ち会ってもらいます。建築工事の期間工事の進行状況に合わせて設計図面の通り建築工事が適切に行われているかチックをしてもらいます。工事完了引渡しまで建築設計事務所にはしてもらう仕事が沢山あります。当然、建築設計事務所には妥当な報酬を支払うことが必要です。
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